担当が変わり、新しい仕事を引き継ぐことになったとき、「前の人と同じようにやればよい」と考えることがあります。
手順が決まっている仕事なら、それで問題ない場合もあります。ただ、実際には担当者が変わる間に、求められる結果や周囲の状況まで少しずつ変わっていることがあります。
前任者の方法を正確に再現できても、今必要とされている仕事とずれていれば、後からやり直しが増えてしまいます。
引き継いだ直後ほど、「どうやっていたか」だけではなく、「今は何を期待されているか」を確かめることが大切です。
引き継いだ内容をそのまま始めない
まず、何を引き継いだのかと、誰のための仕事なのかを確認します。
期待される結果を聞く
手順ではなく、完成したときに何ができていればよいかを相手へ確認します。
1度やってから調整する
実際に進めた結果を見て、残す方法と変えてよい部分を決めます。
この記事のタグ
引き継ぎ資料だけでは分からないことがあります
引き継ぎでは、作業手順や保存場所、締め切りなどが中心になりやすいものです。これらは仕事を始めるために必要ですが、それだけでは判断に迷う場面が残ります。
例えば、以前から続いている報告資料でも、誰が何のために読んでいるかが分からなければ、どこまで詳しく作ればよいのか判断できません。
- 手順は分かるが、この仕事の目的までは説明されていない
- どの部分なら自分の判断で変更してよいのか分からない
- 困ったときに誰へ確認すればよいのか決まっていない
- 前任者が続けていたため、そのまま続けている作業がある
仕事の目的、期待される結果、自分で決めてよい範囲まで分かると、前任者と同じ方法を再現しなくても仕事を進めやすくなります。
方法と目的と判断範囲を別々に確かめます
引き継ぎ直後に迷ったときは、「前任者はどうしていたか」だけを尋ねるより、次の3点を確認すると仕事の全体像が見えやすくなります。
何を完成させる仕事か
資料を作ることではなく、その資料を使って誰が何を判断するのかまで確認します。
守る必要がある部分はどこか
期限、品質、決まりごとなど、担当者が変わっても動かせない条件を確かめます。
自分で変えてよい部分はどこか
順番、作り方、確認方法など、自分が進めやすい形へ変えられる範囲を確認します。
ここが分かると、「前任者と違う方法にしてはいけない」という思い込みを減らせます。
反対に、守るべき条件が明確なら、変えてはいけない部分まで自己判断で変えてしまうことも防げます。
仕事を始める前に相手へ短く確認します
引き継ぎ内容に少しでも迷う部分があるなら、自分だけで答えを作る前に、仕事を依頼した人や完成物を使う人へ確認してみます。
長い打ち合わせを開く必要はありません。聞く内容を具体的にすると、数分の会話でも十分な場合があります。
最初に完成形を確認する
「この仕事は、最終的に何が分かれば十分ですか」と聞き、求められている結果を確認します。
変更できない条件を確認する
期限や確認方法など、今までと同じにする必要がある部分を具体的に聞きます。
変えてよい範囲を確認する
「結果が同じなら、この作り方は変えても大丈夫ですか」と確認し、自分で判断できる範囲を広げます。
前任者が10ページの資料を毎週作っていたとします。そのまま同じものを作り始める前に、受け取る人へ「この資料で毎週必ず確認したいのはどこですか」と聞いてみます。実際には3項目だけを確認しており、それ以外は参考情報だったと分かるかもしれません。
その場合でも、すぐ3項目だけに減らす必要はありません。まず一度従来の形で進めながら、必要な部分と使われていない部分を確かめる方法もあります。
大切なのは、前任者の方法を否定することではありません。今の仕事に必要なものを確認したうえで、続ける理由がある部分を残すことです。
1度進めた結果から次のやり方を決めます
確認してから仕事を進めても、最初から最適な方法になるとは限りません。
実際に1回やってみると、説明だけでは見えなかったことが分かります。そこで、次の仕事へ入る前に結果を確認します。
- 依頼した人が求めていた結果を渡せたか
- 途中で何度も判断に迷った部分はなかったか
- 前任者の方法を残した部分には、今も残す理由があったか
- 次回は自分の判断で変えてよい部分が増えたか
仕事の結果に問題がなく、もっと簡単な方法でも進められそうなら、次回は一部を変えて試せます。
反対に、変更したことで確認が増えたり相手が使いにくくなったりしたなら、その部分だけ以前の方法へ戻すこともできます。
「前の方法か、新しい方法か」の二択にする必要はありません。実際の結果を見ながら、必要な部分だけ残すことができます。
迷っている仕事を1つ選んで質問を1つしてみます
引き継いだ仕事を全部確認し直す必要はありません。
まず、今もっとも「このやり方で合っているのだろうか」と感じている仕事を1つ選びます。
今日のポイント
- 引き継いだ仕事の中から迷っているものを1つ選ぶ
- その仕事を最終的に使う人を確認する
- 「何ができていれば十分か」を1つ質問する
- 今までと同じにする必要がある部分を確認する
- 次回、自分で変えてよい部分を1つ試す
最初の質問だけでも、仕事の見え方が変わることがあります。
数回進めてみて、確認が減り、相手も使いやすくなっているなら、その方法を残します。判断に迷う場面が増えたなら、確認する相手や範囲を変えてみます。
前任者の方法ではなく今必要な仕事を引き継ぐ
仕事を引き継ぐとき、前任者の方法を知ることは大切です。ただし、その方法をそのまま再現すること自体が目的ではありません。
まず、何を完成させる仕事なのか、守る必要がある条件は何か、自分で変えてよい部分はどこかを確認してみます。
そのうえで一度実際に進め、相手が求める結果になったかを見ます。うまくいった部分は残し、迷いが続く部分はもう一度確認し、負担が大きい部分は方法を変えて試せます。
引き継ぎは、前のやり方を保存する作業ではなく、必要な仕事を次の担当者へつなげる機会として考えることもできます。
仕事を引き継いだときに確認したいこと
- 仕事の手順だけでなく目的を確認できたか
- 誰が完成した仕事を使うのか分かっているか
- 変えてはいけない条件を確認できたか
- 自分で判断してよい範囲が分かっているか
- 1度進めた結果から次回変える部分を決められたか
